ノンオプチカルお脳

特撮/映画/おもちゃに対する客観性無き壁打ち

そして「僕らの列伝」は「銀河の伝説」となる。 『ULTRA GALAXY FIGHT』楽曲の話


(独占配信) 全話ver.『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』日本語版 -公式配信-【ウルトラマン】

 

ウルトラマンって、まだやってるんですか?」(コノミ隊員風に)

ウルトラファンなら一度は言われたことがあるんじゃなかろうか。この悲しくも「正直わかってしまう」言葉…。今より10年前、『仮面ライダー電王』などを中心に渦巻いた"ニチアサヒーローブーム"の裏でウルトラマンの地上波TVシリーズは2007年を最後に途絶え、(僕の目から見ると)忘れ去られつつあった。

時を経て、今。一時はマジでこのまま終わるんじゃねーのとさえ思わせたウルトラシリーズは続いている。2012~13年頃を起点に新作TVシリーズは再開され、ここ数年はコンテンツとして、プロダクションとして、ファンダムとして、色んな面が"厚み"を増している。よかったよかった。オタクの杞憂は大抵外れるんだ。

そんな中2019年秋、ウルトラ初のYouTube限定配信作品として公開されたのが『ULTRA  GALAXY FIGHT ーNEW  GENERATION HEROESー』(以下ギャラクシーファイト)。

 

まーじで良すぎてボロボロに泣いた。

本作を一言で表現するなら、2010年代に円谷プロダクションが、ファンが、必死で「ウルトラマンを終わらせまい」と繋いだバトンのゴールだ。

次々と登場する2010年代"ニュージェネレーション"ウルトラマンのキャラクター性、関係性を的確に整理していく台詞も良い。出す技、フォームチェンジ、何もかもツボを押さえてる…書いたのジョス・ウィードンか??

と、褒めだすとキリが無いんだけど、今回、何より楽曲が良かった。ここにこそ、10年追っかけた奴へのご褒美と、『俺たちはここを走ってきた』的な志が詰まっていた。ということで前置きが長くなったけど今回は『ギャラクシーファイトの使用楽曲』にフォーカスした感想を書いていきます。

ちなみに背景含めた作品全体の解説はジゴワットレポートさんが完璧なので是非そちらを…。

 

 

■だって、ウルフェスの曲だぜ!

本作は監督:坂本浩一、脚本:足木淳一郎(ステージショー脚本を主に担当されている)というハズさない布陣。各ウルトラマンの主題歌をバンバン流してくれるのは分かってた。うんうん、ニュージェネの歴史感じるね、わかるわかる~(とか言いながら本放送当時disってたはずのルーブ主題歌で涙ぐんだりしている)

と思っていたところにかかるのが

35分7秒『Ready to Beat』

39分13秒『Over The Horizon』 の2曲。

これはそれぞれ、池袋サンシャインシティで毎年夏休みに開催されているウルトラマンフェスティバル2018(ルーブ放送時)と2014(ギンガS放送時)内のステージショー、つまり1ヶ月限りのイベント用に制作された曲!特に後者はメチャクチャ熱いステージ脚本に歌詞がリンクしていてスーパーお気に入り

当時から好きだった曲がこうして数年越しに映像作品に採用されると、まだ今ほど観客がいなかったウルフェス、それでも(いい歳こいて)通っていた自分たち、何より10年間、いつも応援している子ども達がいたことを否応なく思い出す。それが今に繋がっている。チョロいおたくは泣いてしまう。ダバダバ

 

■だって、ボイジャーの曲だぜ!!

怒涛の主題歌ラッシュからの、40分30秒にかかるのはボイジャーの歌う本作テーマソング『Ultra Spiral』

ボイジャーは2009年からウルトラシリーズの専属アーティストとして活動してきたユニット。主題歌は勿論のこと上述の「ウルフェス」や「ウルトラヒーローズEXPO」での毎日(!)ライブ出演、ステージ進行、『ウルトラマンX』でのオペレーター役出演など、ニュージェネの映像作品やイベントに必ず登場してきた。

…のだが、2017年『ウルトラマンジード』を最後に主題歌への起用は無くなり、イベント出演も徐々に減り、という状況が続いてきた。オーイシマサヨシ寺島拓篤といったビッグネームが主題歌を担当するようになったのは嬉しい反面、やっぱり10年近い付き合いのユニットの影が薄くなるのは寂しくもあり…となっていたところで、ニュージェネの打ち上げ花火をボイジャーの新曲が務める。美しい~~~。TAKERUくんなんてイベント千秋楽でいっつも喉ボロボロにしてたんだぜ。などなどボイジャーがひたむきに頑張り続けた10年弱を思い出してちょろいオタクは泣いてしまう。ゲボゲボ

 

■だって、ウルトラマン列伝の曲だぜ!!!

ウルフェス楽曲リプライズにボイジャー新曲と来たらもうやることないでしょ~と思ったら、坂本浩一は最後の最後にとんでもない爆弾<ダイナマイト>を放り込んできた。

45分00秒、闘いの最終局面。仲間達からパワーを与えられた初代ニュージェネ・ウルトラマンギンガが叫ぶ。

「行くぜ!ニュージェネレーション・ダイナマイト!!」

瞬間、流れるのが『キラメク未来-夢の銀河へ-』

♪デデデデデッデッデたーとーえじゃあk嗚咽

これは2011年夏に始まった『ウルトラマン列伝』の主題歌(のアレンジ曲)。この『列伝』は…誤解を恐れずに言えば、当時のウルトラシリーズの元気の無さを象徴していた。4,5年ぶりの地上波番組は、歴代シリーズの傑作をお届けする低予算番組、しかも当初はテレビ東京だけでの放送だったのだ。東映ヒーローが玩具完売の社会現象を生んだ『仮面ライダーオーズ』を、伝説的お祭り番組『海賊戦隊ゴーカイジャー』をやっている裏でウルトラシリーズは、ウルトラマンゼロが最後にちょっと感想を述べるだけの再放送ローカル番組…。「ウルころ」のような前例はあれど、やはり相対的な「ウルトラマン一人負け」感は否めなかった。

しかし、この傑作選+ゼロの漫談をひたすら流し続ける番組(と東日本大震災を明確にメタファーとして採り入れた『ウルトラマンサーガ』(2012))が人気を博し、当初3クールを予定していた番組はなんと5年間20クールに渡って放送された。その枠内で『ギンガ』(2013)以降の新作シリーズが誕生し、『オーブ』(2016)以降は完全新規の番組枠として独立、いよいよ今月末に放送を控える最新作『ゼット』へと繋がっている。

(あと一応フォローしておくと『ウルトラマン列伝』の編集は毎回メチャクチャ工夫されていて、例えば『ネクサス』全3クールの複雑な構成を20分にまとめる回なんか出色の出来だったのよ)

説明が長くなったけれど、『ウルトラマン列伝』は多分2010年代ウルトラシリーズ最大の功労者なのだ。逆境の中、ウルトラマンゼロが支え、そしてギンガ達ニュージェネが生まれ育つ場となった番組の主題歌を、彼らの集大成的作品のクライマックスに据える。この10年のウルトラシリーズの奮闘が、ファンそれぞれの伴走が、この一曲のもとに駆けるギンガの姿に全肯定される。「列伝」は確かな「伝説」になった。2011年夏のあの日を、2013年夏のギンガ初回を、などなど10年分まるごと思い出し、チョロいオタクは結構デカめの声を上げて泣いてしまった。グエグエ

 

そんな感じです。

あーチョロいオタクだな自分。すぐ自分の人生に引き寄せる。実際ニュージェネなんて冷静に考えれば、そこまで出来は良くない。脚本やデザインをdisろうと思えばいくらでもdisり倒せる(実際よくやる…)。でも結局はウルトラマンが大好きなのだ。瞳に光を灯す巨人がいるだけで十分なのだ。チョロいオタクで何が悪いんじゃい~。シュワッチ。

 

ウルトラマンZも楽しみです。


新TVシリーズ『 ウルトラマンZ 』PV初公開! -公式配信- 変身アイテム & 3タイプの姿、初登場!